肥満を防ぎながら、栄養をとるコツ
「早食い」「夜食」は太りやすい 「孤食」を避け、たんぱく質をとる
仕事がたまってくると、食事に時間をかけられず、とりあえずコンビニでおにぎりを買う、丼ものですばやくランチを済ませる、という人も増えるでしょう。しかし「早食い」は要注意です。日本栄養士会会長の中村丁次氏はどのように食べるかという行動栄養学の研究をしてきましたが「早食い」と肥満には深い関係をあることを見つけられました。
1、 1食に20分かける
食事をすると体が熱くなります。これらは栄養素を吸収する際にDIT(食事誘発性熱産生)が起きているからです。つまり、人は食事をするときにエネルギーを燃やしています。DITは、呼吸などの安静状態の基礎代謝、運動などで体を動かす活動代謝と並ぶ代謝の働きの一つで、全代謝のうち約10%を占めます。DITが高いと代謝が活発になり、脂肪がつきにくくなります。DITにスイッチが入るのは、食べ始めてからですが、そこから胃や小腸などの消化管に栄養素が入り、2時間かけてエネルギーが消費されます。
満腹中枢を刺激する、レプチンというホルモンも、食事を始めて20~30分後くらいに分泌されます。早食いをして満腹感がないと、間食をしたくなってしまうのです。DITが低い人は太りやすいことが分かっています。
2、 夜遅い食事は避ける
夜遅い食事や朝食抜きの場合もDITが低くなります。学生を対象に実験をした結果、3回の食事が「昼・夜・夜食」型の学生は、「朝・昼・夜」型の学生に比べ、DITが低くなっていました。
ビジネスマンの宴会や接待は夜になりがちですが、体のことを考えるとランチパーティーや朝食会もお勧めです。
3、 孤食をしない
コンビニで買ったおにぎりを自分の机で食べるのは手軽で便利です。しかしコンビニはもともと売っている食材の品種が少なく、さらに嫌いなものは買わないので、コンビニ食が続くと、結果は栄養素が偏ってしまいます。
好きなものを選んで食べるビュッフェの実験では、1人のときより、友人と食べるときのほうが栄養のバランスがよくなるという結果が出ました。友人の皿は野菜が多いなど、お互いが意識し合うモニタリング効果が期待できます。さらに会話が弾み、食事時間が長くなります。
4、 朝に卵1個、昼と夜にそれぞれ魚か肉のおかず、さらに牛乳200ccと豆腐3分の1丁が目安
何を食べるかをアドバイスするなら、もちろん野菜もたんぱく質も、適度な糖質、と言いたいのですが、中高年以降は筋肉維持のためにも、上記の量を参考に、たんぱく質摂取を心がけて欲しいと思います。
日本人は、米に合う和洋中の料理を取り入れた雑食の文化で、健康長寿を実現してきました。学校給食をはじめ栄養情報に触れる機会も多く、野菜や魚を食べる重要性を知っています。その成果もあり、男性の肥満や動脈硬化、糖尿病も境界の人などハイリスク者が減り始めています。あなたの生涯の健康に重要な栄養の知識を生かした食事をしてください。
(11/19日経ビジネスより抜粋)
(アドバイザー:中村丁次氏)